第一回内国勧業博覧会 新規発明 眞葛焼

「新規発明 眞葛焼 この度、上野公園において開催される内国勧業博覧会において 私は自作の眞葛焼の陶器を出品します。
 皆さんのご要望に応じて山水なり墨竹なり、ご自身でお描きいただいたままを不忍池の土を使った陶器に写し取り、二十分ばかりで新しく開発した眞葛焼を製作してお求めに応じます。また、本格的な焼物(本窯土焼)や磁器(石焼)などは二週間ほどお時間をいただければ精製してご要望にお応え致します。
 何卒、ご愛顧いただいております皆様方のご来場をお願い致します。 製造人 横濱西太田 宮川香山」
(『かなよみ』第448号 1877(明治10)年8月20日)

1877(明治10)年、第一回内国勧業博覧会開催時に初代宮川香山が出した“広告”である。
 “不忍池の土を使って、お望みの図案で20分で焼き上げる”という非常に斬新なアイデアである。広告戦略にも抜かりがなく、4回(同年8月15日、18日、20日、27日)にも渡り同じ広告を出している。

 当時の博覧会は作品を展示するだけではなく、販売する場でもあった。ここに紹介する作品からも香山の溢れる創造力と起業家魂を感じる事ができる。