遺作

[- 1916年(大正5)]

1896(明治29)年には帝室技芸員にも任命され、明治時代を通じて国内外で高い評価を得た初代宮川香山は、1916(大正5)年にこの世を去った。享年75。
二代香山は、「故人は西洋向けのけばけばしいものよりも、日本向けの沈んだ雅緻に富んだ物の方が得手のようでした」と回想している、晩年の作品を見ると、確かにその作風を滋味あふれ、伝統的な風情漂う作品が多く見受けられる。
香山が一生をかけて最後にたどり着いた美とはこうしたものであったのか。